筋トレをする50代男性

筋トレは脳卒中を予防する。でもやりすぎは逆効果。研究が示す「ちょうどいい」時間とは

この記事でわかること 筋トレが脳卒中・心血管疾患の予防につながるという研究結果 「週130分を超えると逆効果」という、もう一つの側面 研究を知ったうえで、私が中負荷を選び続けている理由 調べてみたら、驚く事実も見つかった ある日、ふと気になって調べてみた。 「筋トレは、脳卒中の予防に効果があるのだろうか」 80歳、90歳まで自立した生活を続けたいと考えている私にとって、脳卒中は最も避けたいリスクの一つだ。ある日突然、身体の自由が奪われる。そういう病気だからだ。 調べてみると、複数の研究が「効果がある」という方向を示していた。それ自体はうれしい発見だった。 だが同時に、少し驚く事実も見つかった。やりすぎると、その効果が消えてしまう可能性があるというのだ。 筋トレが脳卒中・心血管疾患を予防する根拠 まず、良い面から整理したい。 2018年に米国の科学誌「Medicine & Science in Sports & Exercise」に掲載された研究では、週1〜2回・合計60分未満の筋力トレーニングで、心筋梗塞や脳卒中の発症リスク、そして死亡リスクが下がる可能性が報告されている。興味深いのは、有酸素運動をしているかどうかにかかわらず、この効果が認められたという点だ。 さらに2022年、東北大学・早稲田大学・九州大学の共同研究が「British Journal of Sports Medicine」に発表されている。この研究では、筋トレを実施している群は、総死亡・心血管疾患・がん・糖尿病のリスクが10〜17%低いという結果が示された。 週1〜2回、60分未満。この数字を見て、正直に言えば「思ったより少なくていいのか」と感じた。ハードルは決して高くない。 「やりすぎ」の話:週130分を超えると ここからが、もう一つの側面だ。 先ほどの2022年の研究では、週30〜60分の実施で最もリスクが低くなるという結果が出ている。そして——週130〜140分を超えると、心血管疾患・がん・総死亡に対する好影響が消失し、むしろリスクが高い値を示したというのだ。 この数字を見たとき、正直、少し動揺した。私のトレーニング時間は、明らかにその範囲を超えているからだ。 ただし、ここは冷静に受け止めたい。研究に携わった門間陽樹講師は、**「週130〜140分を超えた人が、筋トレをしていない人より大幅にリスクが高くなったわけではない。長時間の筋トレに警鐘を鳴らす必要があるような結果ではない」**という趣旨のコメントを残している。 つまり、「やればやるほど良い」わけではないが、「長時間やると危険だ」という話でもない。そこは混同しないほうがよさそうだ。 もう一つ、押さえておきたい点がある。この研究はあくまで「時間」のデータで分析されたものだということだ。具体的なトレーニング内容や、負荷の強度までは、データに盛り込まれていない。高強度で追い込む2時間も、軽い負荷で淡々とこなす2時間も、同じ「120分」として扱われている。 では、私のトレーニングはどうなのか 私は週4〜6日ジムに通っていて、1回あたりの時間は約2時間。単純計算すれば、週の合計時間はかなりの数字になる。研究が示す「最適な範囲」からは、大きく外れている。 ただ、一つ違いがあるとすれば、私が実践しているのが中負荷で、筋肉痛が残らないスタイルだということだ。限界まで追い込むことはしない。追い込まないことが50代の正解だと書いた記事でも触れたが、翌日に痛みを残さない強度を意識している。 先ほど書いたとおり、研究は高強度と低強度を区別していない。だとすれば、この結果を中負荷継続スタイルへの直接的な警告と受け取るのは、言い過ぎだと思う。 とはいえ、都合よく解釈するつもりもない。「やりすぎは逆効果になりうる」という事実そのものは、謙虚に受け止めておきたい。 「ちょうどいい」筋トレとは これから始めようと考えている人にとっては、むしろ朗報かもしれない。 疾病予防という観点でいえば、研究上の目安は週30〜60分だ。週1回・30分でも、始める価値は十分にあるということになる。何時間もジムにこもる必要はない。 大切なのは、「続けられる強度と頻度」を自分で見つけることだと思う。高強度で短期間だけ頑張るより、中負荷で長く続けるほうが、健康への投資としては理にかなっている可能性がある。 今日も、中負荷で。無理なく 脳卒中を予防したいから筋トレをしている、というわけではない。なぜ健康に投資し続けるのかは、別の記事に書いたとおり、私が目指しているのは、高齢になっても自立していることだ。 それでも、長年続けてきた習慣が、結果として脳卒中のリスクを下げている可能性があると知って、続けてきてよかったと改めて思った。 今日も、中負荷で。無理なく。

2026年8月30日
バタフライマシンでトレーニングする男性

追い込まなくていい。バタフライマシンで「静止する」だけで大胸筋に効く話

この記事でわかること ピーク・コントラクション(静止法)とは何か バタフライマシンでの具体的なやり方5ステップ 50代がこの方法を取り入れるべき理由 ベンチプレスで肩を痛めそうになった日 高重量のベンチプレスに挑戦していたある日、肩に嫌な違和感が走った。幸い大事には至らなかったが、「このまま重さを追い続けていいのだろうか」と、その場で考え込んでしまった。 50代になってから、身体は正直に反応を返してくる。若い頃なら気にも留めなかった小さな違和感が、今は無視できない警告に見える。 もっと安全に、それでいて確実に大胸筋に効かせる方法はないか——そう考えて行き着いたのが、バタフライマシンだった。**重さより、効かせ方。**この記事のテーマは、そこに尽きる。 バタフライマシンとは 椅子に座り、左右のバーを握って胸の前で腕を閉じたり開いたりするマシンだ。 動作の軌道が固定されているため、力が腕や肩に逃げにくく、大胸筋をピンポイントで鍛えられる。ベンチプレスのようにバーベルを支える緊張感もなく、万が一力が抜けても重量を落とす心配がない。この安全性の高さは、ジムに通っているからこそ使えるマシンの魅力の一つだと感じている。 特に、大胸筋の内側——胸の中央のライン——を集中して鍛えられるのが特徴だ。注意点はシンプルで、肩が上がりすぎないこと、可動域を広げすぎないことの2つだけ。これさえ守れば、初心者でも扱いやすいマシンだと思う。 「静止する」とはどういうことか ここが、この記事の核心になる。 バタフライマシンで両腕を閉じ切った状態——フィニッシュポジション——で1〜2秒静止する方法を、ピーク・コントラクションという。 筋肉が最も収縮したタイミングで動きを止めることで、その瞬間に最大の負荷を筋肉にかけられる。通常の「閉じて、開く」という動作だけだと、勢いに任せて動かしてしまいがちだ。でも静止することで、「今、大胸筋のどこに効いているか」がはっきりと感じられるようになる。 重量を増やさなくても、止めるだけで負荷の質が変わる。私にとって、これは発見だった。 50代にこの方法が向いている理由 1. 関節への負担が少ない 高重量を扱わなくていいので、肩・肘・手首への負担は最小限に抑えられる。50代で最も避けたいのは、怪我による長期離脱だ。中負荷で続けることが50代の正解だと以前書いたが、バタフライマシンの静止法は、その考え方と完全に一致している。 2. 筋肉への意識が高まる 静止することで、「大胸筋で動かしている感覚」をつかみやすくなる。重量を増やしているのに効いている実感がない人ほど、まず静止を試してみる価値があると思う。 3. 毎日続けられる疲労感に収まる 中負荷と静止の組み合わせは、翌日に筋肉痛が残りにくい。週4〜6日ジムに通うルーティンを崩さずに続けられるのが、この方法の地味だが大きな利点だ。 実際のやり方 難しいことは何もない。誰でもすぐ試せる。 1. シートの高さを調整する バーを握ったとき、肩が自然に下がる高さに設定する。 2. 重さは「10〜12回できる軽め」に設定する 勢いをつけずに、ゆっくり動かせる重さが目安だ。 3. 両腕をゆっくり閉じる 腕の力ではなく、大胸筋で押し合うイメージで閉じる。肩甲骨を寄せすぎず、胸を張った状態をキープする。 4. フィニッシュで1〜2秒静止する 両腕が閉じ切った状態で止まる。大胸筋の内側が「ぎゅっと」縮んでいる感覚を確認する。 5. ゆっくり戻す 重力に逆らうように、ゆっくり開いていく。この戻す動作にも大胸筋が使われているので、丁寧に行うことを心がけたい。 私の実践と感じた変化 以前の私は、重さを増やすことにばかり意識が向いていた。でも静止を取り入れてから、「効かせ方」そのものが変わったように思う。 軽い重さでも、翌日に胸の張りをしっかり感じられるようになった。それでいて、肩や肘に違和感が出ることもなくなった。 「長く続けるためには、追い込まないことが正解だ」——これは頭で理解していたつもりだったが、バタフライマシンでの静止を通して、体感として確信に変わった経験だった。 静止する1〜2秒の中にある答え 重さを追うのをやめた日から、トレーニングが楽しくなった。 静止する1〜2秒の中に、50代の筋トレの答えがあるように思う。 ▶ ながら筋トレに興味がある方はこちら: 電車の中でもできる。ハンドグリップで握力を鍛える話

2026年8月9日
軽い負荷で筋トレをする男性

筋肉痛がないと意味がない?50代の筋トレは「追い込まない」が正解だった

この記事でわかること 「筋肉痛がない=効いていない」が誤解である理由 50代にとって「中負荷・筋肉痛なし・高頻度」が最適な4つの根拠 私が実際に使っている重量・回数・セットの目安 週4〜6日通うための部位ローテーションの工夫 週4〜6日ジムに通っているのに、筋肉痛がほとんどない 毎朝2時に起きて、徒歩20分でジム(エニタイムフィットネス クレアモール川越店)へ向かう。 このルーティンを続けて、もう長くなる。週に4〜6日はジムに行き、筋トレとウォーキングをこなしている。 ただ、ふと自分のトレーニングを振り返って、こう思うことがあった。 「最近、筋肉痛がほとんどない。これって、ちゃんと効いているんだろうか?」 若い頃の感覚だと、「筋トレ=翌日歩けないくらい筋肉痛になるもの」というイメージがあった。それに比べると、今の自分のトレーニングはずいぶん"楽"に見える。 正直、半信半疑だった。でも、調べていくうちに、その不安は確信に変わった。「筋肉痛がない」ことは、50代の自分にとってはむしろ正しいサインだったのだ。 「筋肉痛=効いている証拠」という思い込み 多くの人が、なんとなくこう信じている。 「筋肉痛になるくらい追い込まないと、トレーニングの意味がない」 この感覚自体は、決して珍しいものではない。私自身も長い間そう思っていた。 筋肉痛、いわゆる**DOMS(遅発性筋肉痛)**は、トレーニング後1〜2日して現れる筋肉の痛みのことだ。筋繊維に細かい損傷が起きた結果として生じると考えられているが、トレーニングの効果そのものを示す指標ではない。筋肉痛がなくても、筋肉にはきちんと刺激が入っていることは十分にある。 そしてここからが50代にとって重要な点になる。この「微細な損傷からの回復」には、年齢を重ねるほど時間がかかるようになる。 10〜20代の頃なら2日で抜けていた筋肉痛が、50代では3日、4日と長引くこともある。 週4〜6日というハイペースで通うスタイルにとって、回復の遅れは大きな問題になる。筋肉痛が抜けないまま次のトレーニング日を迎えれば、無理をするか休むかの二択を迫られる。そしてその積み重ねが、継続そのものを脅かしていく。 「中負荷・筋肉痛なし」が50代に最適な4つの理由 1. 継続性――「同じリズムで動ける」ことの価値 筋肉痛がなければ、翌朝も普通に起き、普通に歩き、普通にジムに向かえる。これは地味なようでいて、実はとても大きい。 週4〜6日というペースを支えているのは、特別なモチベーションではなく、「今日も昨日と同じように動ける」という当たり前の積み重ねだ。筋肉痛で動きがぎこちない日があると、その日だけでなく翌日以降のリズムまで崩れやすくなる。中負荷トレーニングの最大のメリットは、この**「リズムを壊さない」**という一点に尽きると感じている。 2. 怪我のリスクを減らせる 50代になると、関節や腱、靭帯の回復力は確実に低下してくる。 高重量・高強度のトレーニングは刺激としては魅力的に見える。けれど、その分だけ関節や腱への負担も大きくなり、痛みや炎症につながるリスクも上がる。 もし怪我をして1〜2週間トレーニングを離脱すれば、積み上げてきたリズムは簡単に崩れてしまう。「強い負荷で短期間の効果を狙う」よりも、「無理のない負荷で何年も続ける」方が、トータルで見た成果は大きい——これは、長く続けてきたからこそ実感できることだ。 3. 筋力維持には、それで十分な負荷がある 「筋肉痛が出ないくらいの負荷で、本当に筋力は維持できるのか」という疑問は当然あると思う。 ここで押さえておきたいのは、最大筋力の60〜70%程度の負荷でも、筋力の維持・向上には十分だとされていることだ。 ボディビルダーのように筋肉を大きくすることが目的なら、もっと高い強度が必要になるかもしれない。でも、私たちが目指しているのは筋肥大ではなく、**「将来も自分の足で歩き、自分の力で立ち上がれること」**だ。その目的にとって、中程度の負荷は十分すぎるほど機能する。 4. QOL・幸福度を下げない トレーニングのあとに「心地よい疲労感」で終わるか、「痛みと強い疲労」が残るかは、その日一日の過ごし方を大きく左右する。 筋肉痛で階段の上り下りがつらかったり、子どもや孫と動くのが億劫になったりすれば、それは生活の質(QOL)を下げる方向に働いてしまう。 私にとってトレーニングは、生活を犠牲にしてまで行うものではなく、生活の質を底上げするための習慣だ。だからこそ、「やってよかった」と素直に思える強度で終えることを大切にしている。 私が実際に使っている負荷・回数の目安 具体的にどれくらいの強度でやっているかというと、だいたい次のような感覚だ。 重さの目安は、**「10〜12回×3セットはこなせるけれど、翌日に痛みとして残らない」**くらいの重量にしている。セット間の休憩は60〜90秒ほど。長すぎず短すぎず、呼吸が整うくらいのタイミングで次に入る。 セットの最後、10〜12回目あたりで「あと2〜3回ならできそうだけど、ここでやめておこう」と感じるラインで止める。限界まで追い込まず、少し余力を残すのがポイントだ。 フォームは、特に効かせたい場面で1秒ほど止める、ゆっくりとした動作を意識している。スピードに頼らず、コントロールしながら動かすことで、軽めの重量でもしっかり刺激は入る。 翌日の感覚は、「軽い張りがある程度」。痛みや、動くのがつらいほどの疲労感は残らない。この状態であれば、翌日もいつも通りジムに向かえる。 週4〜6日通うための部位ローテーション 毎日同じ部位を鍛えていては、回復が追いつかない。そこで私は、部位をローテーションさせて週のスケジュールを組んでいる。 イメージとしては、ある日は胸と腕の押す動作(プッシュ系)、別の日は背中と腕の引く動作(プル系)、また別の日は脚や臀部、というように、同じ部位に連続して負荷をかけないようにしている。こうすることで、ある部位が回復している間に別の部位を鍛えられ、毎日ジムに行っても「今日鍛える部位はフレッシュな状態」をキープしやすくなる。 そしてもう一つ大事にしているのが、週に1日は完全な休養日をつくることだ。トレーニングは一切しない。身体を休ませることも、トレーニングの一部だと考えている。この1日があることで、残りの日のトレーニングの質も安定する。 まとめ:筋肉痛がないことは、サボっている証拠ではない 「週4〜6日もジムに行っているのに、筋肉痛がほとんどない」 最初は、この状態に少し不安を感じていた。でも今は、はっきりとこう思える。 筋肉痛がないことは、サボっている証拠ではない。正しく続けている証拠だ。 50代の筋トレに必要なのは、若い頃のような「追い込み」ではなく、「明日も同じリズムで続けられること」。中負荷で、心地よい疲労感のうちに切り上げる。それを淡々と繰り返すことが、結果的に一番遠くまで自分を運んでくれる。 もし同じように「これで効いているのかな」と感じている人がいたら、伝えたい。そのやり方は、きっと間違っていない。 明日もまた、同じ時間に起きて、同じ道を歩いて、ジムに向かおうと思う。

2026年6月11日